【相続だより】相続コラム(相続税の申告不要なケースと申告無税なケース )
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税理士法人リライト
塩田 拓
2024-09-10
相続税の申告不要なケースと申告無税なケース
相続税の申告が必要かどうかについては、原則としてプラスの財産(不動産や預金等の資産)からマイナスの財産(借入金や葬儀費用等)を差し引いた純財産が基礎控除額を超えるかどうかで判断します。しかし、中には基礎控除を超えるものの、特例を適用することで基礎控除額以下にまで純財産価額又は納税額が減額し、申告のみ必要で納税が無しとなるケースや、そもそも申告自体も必要が無いケースも存在します。
①死亡保険金控除・死亡退職金控除
みなし相続財産に対する非課税枠について、申告義務はありません。従って、死亡保険金や死亡退職金の非課税枠を適用し、基礎控除額を下回った場合は、申告が不要になります。
②障害者控除・未成年者控除
純財産額が基礎控除額を上回り、相続税額が発生しても、相続人に障害者や未成年者がいる場合には、障害者控除や未成年者控除といった税額控除が適用されます。これらの税額控除には、適用要件に申告が織り込まれていないため、税額控除によって相続税額が0円になった場合、申告自体が不要となります。
③配偶者の税額軽減
配偶者が財産を相続する場合、課税対象の価額が1億6,000万円(もしくは法定相続分)までの部分については、相続税が課税されません。しかし、配偶者の税額軽減は、申告をする事が適用要件となっているため、配偶者の税額軽減を適用することで納税額が0円となった場合でも、申告は必要となります。
④小規模宅地等の特例
被相続人が自宅として使用していた土地や賃貸物件の土地に対しては、小規模宅地等の特例を適用することで、土地の評価額を大幅に減額することができることがあります。かなり効果が大きいため、適用することで納税額が0円になることが多々あります。この場合においても、相続税の申告自体が適用要件となっているため、納税額が0円の場合でも、申告は必要になります。
相続税申告をする際は、財産評価総額(特例適用前)の約1%の額を手数料としていただいています。もし、申告自体が不要であるにも関わらず、それを見落として申告を請け負うと、お客様にとっても不利益となりかねないため、相続税申告の際は、納税の有無以外にも、申告要件にも十分注意することが必要です。
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